「なんか、“天才”っていうか。
人に自分を…“魅せる天才”だと思う。」
姉ちゃんの言葉に私は顔を俯けたまま目を見開いた。
「私とは…また違う感じ。」
「知ってる。姉ちゃんと結城が違うのは。
雑誌の写真を見てればわかる。
結城は、あれは天性の勘を持って、それを信じてやってる。
そんな結城を天才と称すなら、姉ちゃんは秀才って表すべきだと思う。
私は知ってるよ。姉ちゃんがどれだけ努力してるか。
みんな、姉ちゃんを天才って言うけどそれは違うよ。姉ちゃんは努力家。」
私はそう言って一つ伸びをした。
そして振り返りセットが出来上がるのを確認した。
「でも、そんな姉ちゃんが私は大好きだから。」
姉ちゃんの横を通り過ぎセットの元へ戻った。



