「あ、終わった。」
「ホントだ。小夜ちゃんももうすぐじゃん。」
さっきのモデルがカメラマンに頭を下げているのを見て、私が呟いたことに姉ちゃんが反応する。
「姉ちゃん、私の服、どういうイメージなの?」
「えーと、大人可愛い彼ウケ夏デート服…かな?」
私はその言葉にゆっくりと頷いた。
姉ちゃんにはわかってるように見せてるが、私には彼氏なんていたことないし全くわからない。
「まあ、男ウケよさそうに、でも大人っぽく写れば大丈夫よ。
小夜ちゃんだから大人っぽいは大丈夫。アップの時に上目遣いでもしてみれば?」
私が隠そうとしていたことを当たり前のように言い当てた。
「撮ってもらう時、どんな気持ちでいればいい?
どうやって…
笑えばいいの?」
いつもの疑問が小さく口からこぼれ落ち、悲しくスタジオに響いた。



