いくつかカットを撮って姉ちゃん衣装室に戻っていく。
それから何種類かの服で撮り終えた時だった。
「玲於君入りまーす。」
そんな声が聞こえ、私は一瞬眉を顰める。
ちらりと見えた姿に私は思わず顔を背けた。
「結城玲於…こんな所で会うとは…」
ちょっと呟いてみると、少し落ち着きを取り戻せた。
「玲於君。今日、紫ちゃんの妹さんが見学に来てるんだ。
カッコいいとこ見せてあげな。」
その言葉で結城は私の方を見た。
そして少し笑みを讃えて私の方に歩いてくる。
まさか…気づかれないよな…?
今日はメガネもかけてないし、前髪も上げてるし。
「はじめまして、結城玲…英さん?」
結城は私の顔をまじまじと見た。
私は思い出した、こいつは私の素顔を知っているのを。
「そ、そうだけど。」
「まじで?紫さんの妹が英さん?」



