こうやって佐々木さんにメイクしてもらうのは何度目だろう?
あの初めて撮影してもらった日からどれだけ時間が経っただろう?
あっという間な時間だった。
「佐々木さん。」
「なぁに?」
私は瞑っていた目を開いて声をかけた。
「これからもよろしくお願いします。」
目を見開く佐々木さんを鏡越しに見る。
「何言ってるの!もちろんよ!」
彼女は笑いながらメイクを続ける。
けれどその声は震えていた。
ねえ、佐々木さん。
私、あなたがいないとこの仕事できないんだからね?
私がこの仕事辞めるまでずっとずっと、魔法をかけてくださいね?
私はそう心の中で呟いて目を伏せた。
15分ほどでメイクが終わり、私は1つ息を吐いた。
「いってらっしゃい。私は映像で見てるから。」
私は笑って控え室を出た。



