「あれ、ノックしたけど気付かなかった?」
振り返ると台車を引きながらドアを閉める佐々木さんがいた。
ただ花を見ていただけなのにかなりの時間が経ったみたいだった。
「20分ぐらい時間あるからしっかりやるよ?
あと2つは同じメイクで行くから。」
私はその言葉に頷きながらパックを外した。
「保湿だけしといて。準備するから。」
私はそう言われて投げられた乳液をキャッチして塗る。
「じゃあ、始めますか。
今回はホントに男ウケいいメイクだから慣れないと思うけど。」
そう言いながら下地を塗り始める。
「クリーム余ったんだけど。
顔面小さすぎるわ…」
佐々木さんは手の甲に乗せてあるクリームをシートで拭き取る。



