「あ、小夜ちゃんメイク始めるね。」
私の着替えが終わる頃、佐々木さんがメイク道具の乗せてある台車を持って入ってきた。
「間に合ったみたいで何より。
一旦メイク落としちゃうよ?」
私が次着る服は原宿系、と言うのか若者人気の高い服。メイクも韓国メイクになる。
「時間ないし肌休めてる暇ないから新しいの乗せてくよ?」
私はその言葉に頷いて目を閉じた。
もう慣れてきたこの筆の感覚。
最初の頃は全然慣れなくてくすぐったく感じた。
ものの5分と少しでメイクは終わった。
私は右足首を動かして痛みがないのを確認し立ち上がる。
廊下に設置された画面では複数人で歩く時間が始まろうとしていた。
私は少しだけ足を早めてバックヤードに向かう。



