会場に音楽が流れる。
世界的歌手のクリスマスソング。
私はブーツのチャックを上げてランウェイへの入口の傍に寄った。
「3、2、1。行ってください。」
スタッフさんのその声でSEIRAさんがランウェイに足を進める。
ブランドと服の簡単な説明がアナウンスされている。
私は目を瞑り、息を吐いて緊張を収める。
デビューしてまだ少ししか経っていない私の立つ最高の大舞台。
けれど4人が歩くのなんてあっという間ですぐに私の番が回ってくる。
「3、2、1。どうぞ。」
私は一歩を踏み出す。
足が痛まないことを確認してランウェイを踏みしめる。
暗い会場に流れるクリスマスソング、観客の持ったカラフルなペンライト。
そして私たちを照らすスポットライト。



