どんな顔を合わせればいいかわからない。
正直、直前になってもわからないと思う。
始まるまでは悩むだけ悩む。
開演したら私は英小夜という一人の人間ではなく、モデルの小町にならなくてはいけない。
その小町のまま結城に会えるのならば、きっと苦労はしないだろう。
だけど、だけど。
きっとどんなに取り繕っても私は私で。
小町はあくまで英小夜でもあるんだ。
自分で被ったもう1人の私。
どんなに強い魔法でも。
きっと結城を目の前にした時の動揺には勝てない。
私はそんなことを考えながらイスに座りながらストレッチを始めた。
本当は立ってストレッチをしたいけれど、昨日今日の疲労が溜まっていて上手くいかない。



