私が結城の控え室に向かっている時、姉ちゃんとすれ違った。
姉ちゃんも最初に歩く衣装を着ていて、いつもとは雰囲気が違っていた。
「小夜ちゃん、どこ行くの?」
「負け戦しにいくの。」
私はキッパリとこう言った。
姉ちゃんにこの意味がわかるだろうか?
「そう簡単に“負ける”なんて言わない方がいいよ。
小夜ちゃんは負けないでしょ。」
私の肩に姉ちゃんがそっと手を乗せた。
真冬なのに暖かいその手は私に少し勇気をくれた。
「負けるよ。私だって...
でも行かなきゃいけない。
諦めてこないと、自分の気持ちにケリをつけないと。」
私は少しため息をついた。
姉ちゃんを見ると凄く悲しそうな目をしていた。
姉ちゃんは何を知ってるの?
なんでそんな目をするの?
笑ってよ...
不安になるじゃんか。



