「ありがとう、奏。」
「っ!?なんで?どうして?
私は!
あなたに酷い仕打ちをしてきたんだよ?」
奏の真剣な顔を見ていると自然と涙が溢れてきた。
「だって、奏はデビューして間もない私に声をかけてくれた。
それが偽りだったとしても、私は嬉しかった。
奏がいなかったらきっと私はここまで大きな仕事を貰えなかっただろうし、ミーティングの時だって奏のあの言葉がなければ私はここまでムキになってウォーキングの練習なんてしなかった。
まあ、それで怪我したのは確かだけどね。」
私がそう言うと奏は大きな目をさらに大きく見開いた。
「昨日のことだってなかったらきっと私に欠如した大切な感情がすっぽり空いたまんまだった。
ありがとう、私といてくれて。」
大きな目から大粒の涙がこぼれ落ちる。



