それから数日。
私の読み通り、あの話はもうほとんどされなくなっていた。
本当は喜ぶべきなんだ。
熱愛報道なんてあって嬉しいものじゃない。
なのにどうして?
どうしてこんなに悲しいんだろう。
どうしてこんなに苦しいんだろう。
あの日結城がお祝いで誘ってくれたことも、熱愛報道も、秋コレのランウェイも、
全て神様のいたずらなタイミングだったってわけ?
そう思うと凄く虚しくなる。
こんな思いするのなら、はじめからこんなことしないでほしい。
私のため息はもうすっかり秋になった9月の空に溶ける。
「さよっち。」
私が外を見ているとそう呼ばれた。
振り返るといつもより暗い顔をした姫華が立っていた。
最近、姫華が私に声をかけることが少なくなっていたのは気付いていた。
今日初めての会話。
「さよっち、お話しよう。」
私はそう言われて私は姫華の後を着いて行った。



