『一緒に来た男性…?』
『マスターが言ってた…拓真君、女性は初めてだけど、男性は何度が連れてきたことあるって…』
『ああ、大学の頃の友人のことかな?さっきのもその時…』
『や、やっぱり、こういう自分の…自分だけの特別な場所に連れて来るって、そういう人だよね?』
『そういう…人?』
『拓真君にとって、特別な相手っていうか…』
『…萌?』
『す、好きな人っていうか?…』
『萌』
私の言葉を遮るように、名前を呼ばれ、思わず我に返る。
『もしかして…妬いてる?』
『え』
隣に座る拓真君を見れば、少し驚いたように、キョトンとしている。
『な、な、なんで私がッ!?』
動揺してシドロモドロになってしまい、これじゃますます本当に妬いているみたいだ。
『何だろう?ちょっと、嬉しいね』
拓真君は、にやけた口元を隠すようにして、少し照れたような顔でこちらを覗き見る。
『ち、違うから!そんなんじゃないからね?』
『…全否定?』
『だって男性に妬くって、そもそも可笑しいでしょ?』
『そうかな?』
『そうでしょ!』
『萌…顔、真っ赤』
『お、お酒のせいよッ』
『ふうん』
何故か動揺しまくって、先ほど自らが発した、妙な誤解を招いた言動の対応に追われる羽目になった。
拓真君は、そんな私を、終始ニヤニヤしながら見つめている。
一体、どうしちゃったのよ?私。
拓真君を琉星に見立てたせいで、少し感情移入し過ぎたのかもしれない。
これはすべて週末の大芝居の為のフェイク…そんなことは、充分承知しているはずなのに。



