「…わかんねぇよ……」 追い出されたあの日から、頭の中でずっと、女の人が悲しそうに囁いてる。 “…主様、返事をして…” 今もまた…。 「……」 消えてしまいたい。 “主様…どこに行かれるのです…?” 声の主はまるで俺を見ているような口ぶり。 …俺は川へ向かっていた。 “主様……この世が憎いですか?” ─憎いよ。