【千里Side】
ここは、校舎内で唯一静かな場所。
誰も、汚しに来ない場所。
限られた人間しか入れないし、そんな人間たちは無駄な争いを好まない。
……といっても、使ってない音楽室を勝手に改装しただけ。
そんな場所で、僕たち『陽炎』の幹部は
今日も集会を始める……はずなんだけど。
「もうやだ…………」
悲痛なため息。
「どーしたんや、元気ないなぁ」
すぐに声をかけるのは、1年生にして『陽炎』の幹部となった虎太郎。
オレンジ色の髪をキラキラさせて、窓際で黄昏ている彼に近づく。
「……無理」
「だから、どうしたんやって」
さっきからため息だったり、悲痛な呟きだったり。
今年から幹部になった2年の透真は、
喧嘩も強いし僕のことすごい慕ってくれるし、本当にいいやつなんだけど、
「……いま俺に話しかけんな、一人でショック受けさせて」
「お、おう……わかったで」
なんかこう、少し残念だ。


