「透真」
「ふぁ!? あ、あ、ひよか。な、なに?」
家に帰って部屋にいる透真に声をかけると、とんでもなく動揺した声が返ってきた。
声裏返ってたし……
「あの、これ千里さんの忘れ物……」
「あぁ、そういうことか。びっくりした」
「なにが?」
「……なんでもねぇよ。これ渡せばいいんだろ」
少し我に返ったような透真は、私からブレザーを奪うように取った。
「あ、うん。お願い……」
「……」
「…………」
「……ひよさ」
「うん?」
少しの沈黙のあと、透真は言いづらそうにしながら口を開いた。
「千里さんと、付き合ってんの?」
へ?
「いや、付き合ってないよ……」
私がそういうと、透真はふぅんと言って、今度はまっすぐ目を合わせてきた。
「あのさ、それなら。
もうあの人には、深入りするな」


