好きになる10秒前。

しばらくすると、部屋のドアが開き、泣きながら姉が入ってきた。
彼女は当時高校一年生。やっとの思いで私立高校に入学した。

姉は綺麗だった。背が高く、けれど華奢で。儚くて。
そのせいか、年上には好かれなかった。醜い妬みだ。
だから姉は入学して半年で、学校を辞めたいと親に泣きついた。

親はそれを許さなかった。
父は酒に酔い暴れ、母は意味もなく姉に怒鳴った。



姉は誰かに電話をかけた。

「父にっ……殴られた……」