時が経つのは早いもので美麗ちゃんはたくさんのことを話すようになった
漣はあの日のことを知らぬ人で再構成された
少しずつ戻ってきている。





















〜〜〜















「なかや〜。」

ふんわりとした声
まぶたをあげると白が眩しかった
「ゆきだよー。」





美麗ちゃんの6回目の誕生日
遅めの初雪がそれを祝福してるようだった
窓の外
庭を白く染めた雪
はらはらと宙を舞う雪



どちらもとても綺麗だった

「綺麗だね〜」

窓に張り付いてこちらを見る彼女に頬がほころぶ




「ちょっと出てみようか。」

暖かなモコモコのジャンパー、帽子、手袋をはめてあげて窓を開ける
外の空気が肌を刺すように冷たかった
雪の中走り出した彼女
ははっと声をあげた
うさぎの長靴が白い地面に足跡をつけた
















「冷たいね〜」

薄く弧を描く桜色の唇と奥に見える桜の枝が霞んだ
「なかや?」
頬を伝った温かい雫
「どこかいたいの?」
小さい手が俺に触れた
「うんん。
大丈夫だよ。」
彼女に笑ってみせた
「雪だるま作ろうか。」
2つの小さな雪玉を転がして最後に合わせた
頭の小さな雪だるま
どこか不恰好な雪だるまができた
少女は枝を拾い彼に手をつけてあげた
「雪たね
みれいとなかやのおともたちになってくれるって!」
あの男とよく似た瞳で俺を見て彼女はそ言った。
「友達?」







少女は雪だるまを指差してニッカリと白い歯を出した
「うん!」
「友達か……
よろしくね。」
茶色い細い手を少し握ってそう言ってみた
彼女はもう片方のその手を取ってまた笑った




「そろそろ入ろうか。」
いやいやと言いながらほっぺを真っ赤にした美麗ちゃんを抱き部屋に戻り着替えをする




ボタンをしめていくが彼女は窓の外をずっと眺めていた。
「今日は湊さんが買い物に連れてってくれるって。」
「パパが!?
わーい」
両手を上げ喜ぶ仕草をする
彼女は6年前の今日おきたことをまだ知らない……