彼の弟の…
漣 湊がどうしても好きになれなかった




愛兎さんとの約束がなければきっとここを離れていた


























「あーや」

1歳歳の誕生日
彼女は自分の足で歩いて俺の隣に座った
ちなみにあーあと声を発して近づいてくるところからするとそれは俺の名前らしい
どこで覚えたのか中谷と彼女なりに読んでいるようだった

からから

障子の隙間から4つの目がのぞく
「入って いい?」
彼女より年上の玲二くんと征一くんだった
「どーぞ。」
彼らは度々この部屋を訪れ彼女と遊んでくれた
その間に自分の仕事を終わらせる


















そんな感じで毎日を過ごした。
彼女は……



















〜〜〜



















美麗ちゃんはすくすく育ち走り出し言葉もしっかり話し出した
イヤイヤ期をすぎた頃俺は頭の中にあった考えを苦手なあの人とその妻を呼び出して伝えた
















「今日で美麗ちゃんも3歳です。
この子を育ててもらえませんか。」

彼らに頭を下げたのは初めてだった
「何で?
嫌になったの?」
湊さんはすかさずあの冷たい表情と声でそう言った
「そんなわけない。
できればずっと美麗ちゃんのそばにいたい。




















だけど…















この子まで親がいない子にしたくないんです。
彼女の父母になってくれませんか。」



















記憶が残るか残らないか曖昧な歳
まだ…
間に合うと思う……






俺と同じ思いはして欲しくない
きっと父母のいないまま育ったら彼女はきっと……
























「分かった。」


こういう時この男はすぐに返事をする
それはいつもイエスだ
ただし彼は必ず相手に何か課題を与える



















それは沢山の
























仕事だった。




毎日疲れて布団に倒れこむ日々
癒しは寝るときだけ枕を持って俺のところへ来る美麗ちゃんだった
寝かしつけると彼女の寝顔を見ながらそばで座って寝た
首は確かに痛いけど一人で寝るよりは断然安心できた