「愛兎から伝言。」
















〜SIDE haruhito

















「ただいま。」

久しぶりに見た黒犬の顔は前よりはマシになっていた
愛兎からの言伝を聞き人を集めた
ここ最近はやけに静かだ…





漣も………














































Bも……














































総丘も……………。





















カードケースに入った息子の写真
それをやさしくゆびでなぞった。



































































SIDE shunpei
















天堂さんや総丘さんと話すのは
なんとなく気まずかった。
だから話はすぐ切った


























紗智栞さんのお腹はだんだんと大きくなり愛兎さんの傷も癒えてきた
そろそろここに皆が揃う…。
少しホッとした



















久しぶりに台所に立った
ところどころ埃が被っている
いつかもらったデニム生地のそれをつけて支度をした
天堂さんや総丘さんが匂いにつられ台所へ入ってくる




ぐー





大きな音は空気を和ませた
「はは。」



















笑いが口から漏れる
慌てて口元を抑えたが二人は顔を綻ばせた
「良かった。」


ただそう呟いて…





















いつか食べたカレイの煮付け
レシピを教えてもらっていたのでそれにした。




















釜いっぱいに炊いた白飯もいつのまにか底をついた



























あの紗智栞さんの庭の花たちはもう冬の支度をしていた
落ち葉を集め林に捨てる











久しぶりに掃除をするととても気持ちが良い。
そしてこれまた
久しぶりに格技場へ行った
体が全然動かない…
それに。
重い………













愛兎さんが帰るまでまだ幾日かある…



















ふうと息を吐いて久方ぶりに夜の街へ出た。