こういう会議に連れて来られることや業界人,かの有名な政治家…などが集まるパーティに着いて行ったりってことが何回かあった



5月,紗智栞さんが妊娠したって話が出た



愛兎さんが嬉しそうに俺に話した
お前の妹か弟ができるな。
って
俺は…



でもその頃から会議が平和なお話し会ではなくなっていた
パーティーの数も減った



稽古や手合わせが増えていた
漣の人たちもどこかピリピリしている

少し恐い…


部屋の窓から満月が見えていた

「恐いか?」

いつのまにか隣にいた愛兎さん
この部屋に来てくれるのも一週間ぶりだ





「お前は気にしなくていい。」




「気にしなくていいってなんだよ。」




「ん?」




「勝手に引きずりこんどいて今更気にしなくていいってなんだって言ってんだよ…。」




立ち上がった
きっと愛兎さんは困った顔をしてる




「すまん。」




何で…
謝るんだよ……




チッ




外へ出た
夜露に濡れた草木
花畑は月明かりに照らされ昼間とは全然違う雰囲気を醸し出していた




声…。




林の奥から声がする……
総丘さん?




ーぎゅ




背中から腕が回って抱きしめられた
苦しい…




「出て行かないでくれ。
心配する………」



泣きそうな声
こんな声初めて聞いた



「なんだよ…それ。
わけわかんねえ……。」



さっきより強く抱きしめられる



「私は漣の皆が…
お前が大切なんだ………
傷付けたくない…。


俺が守る………」



下を向いた彼
腕を上げて彼を抱きしめた



「愛兎のバカ……
みんな、
愛兎と同じこと考えてるんだよ……


みんな愛兎を守りたいって思ってる……


もう1人になるのはやめよ……。」



大きな男は笑った



「分かってるよ。
でも、私は臆病者だから。」



離れてこちらを振り返った男の頬に雫が流れる















「自分が弱いって知ってる人は強くなれるって聞いたことがある……。
手伝うよ。」


彼に寄り抱きしめた






















「……う。」




礼の言葉。


















「もう遅い……。
寝よう。」



少し赤くなった目がこっちを見ていた