目を覚ますと男はいなかった


紗智栞さんが言うには仕事に出かけたそうだ















今日も連れて行って貰えなかった…
天堂さんと格技場で向かい合う
今日はギャラリーはいない


微妙な間合い


ースパーン





綺麗に胴に入った

〜〜〜

「強くなったな。」

頭を撫でられた

「まだ…
まだまだ…。」

「また強さに執着してるのか…」

少し呆れたような顔

「俺を愛兎さんは連れて行かない…」



うつむいた俺と遠くを見つめなおした彼



「まあ誰も…「誰も連れって行ったことないって?
でも俺は愛兎さんを守れって言われたのになんで連れて行ってくれない…」



視界が潤んだ
床に雫が落ちる



「あいつが怪我してるの見たことある?」








「ない。」







「大丈夫。
今日もあいつは無傷で帰ってくるよ。」







背中に手が回った
なだめるように数回背中を優しく叩いた







「よし!
ご飯食べに行こう。」

先を行く綺麗な笑顔の天堂さん

今年子供が生まれたらしい
変な笑い方はしなくなった
愛兎さんの弟さんのとこにも1人男の子が生まれたらしいし

名前は
確か……


遥と,玲二


朝ごはん
鮭と,味噌汁とご飯


美味しい。


「今日は、原一から一本取れたんだって?」


総丘さんがニコニコと聞いてくる
俺は返事をせず頷いた


いまだに少し苦手だ…


「へーすごいなー。
俺とも…「お前がやったらきっとボコボコにされるぞ?」


「はー?」


ふっと笑って茶碗を片付けた
庭園を走る
呼吸が荒くなる


それが心地良かった

ーブロロロロ

門が開く音と車が入る音がした


そちらへ走った
黒塗りの車運転席にはあの男が乗っていた


車庫へ入ると男はこちらを見たまま降りた
「出迎えか。」

男はふふっと笑う