月明かりが眩しくて目を開いた
窓の外を見る
満月だ



目の前の布団の主は上体を上げていた



「起きたか…」



彼は何も答えない
「約束は守ってもらう…」







「ちっ」




犬の返事はそれだけだった
「はいだろ……。」

髪の毛を掴みこちらを向かせる

「ワンでもいいぞ…。」




「分かったよ。
はいはい。」



「犬、名前は…なんだ…」











「…………」







沈黙



「もう一回ヤルカ?」















「俊平だ。」





「苗字は「「中谷」」







「は?」







「いや、なんでもない」





中谷俊平……



ふっ…










「怪我治るまではここで安静にしてろ。」



ジロリと彼を見る



「ぁああい。」


「あと…」




彼の首にドッグタグを付ける
彼は不愉快な顔をした

「犬だろ?
そっちは犬用こっちは飼い主用
取るなよ。」

部屋を出た