我に返ったとたん一気に恥ずかしさが込み上げてきて、思わず下を向く。


どうしよう。今のは、さすがに引かれたよね。


最悪だ……。


そしたら黙って私の話を聞いていた一ノ瀬くんが、次の瞬間クスッと笑った。


「ふっ。雪菜って本の話になると、すげーイキイキするんだな」


「……っ」


やだ。私ったらそんなにイキイキしてた?


「そういうとこも可愛い」


だけどそう言って私をまっすぐ見つめる彼は、すごく優しい表情をしていて。


なんだろう。特に引いたとか、呆れたというわけではないみたい。


「なっ……」


「ほんとにこの本が好きなんだなー。でも、すっごくいいストーリーじゃん。すげー面白そう。なんか話聞いてたら、俺も超読みたくなってきた」


「え、ウソッ」


本気で言ってるのかな?