【完】キミさえいれば、なにもいらない。

そんな私を見て、一ノ瀬くんが明るい声で言う。


「じゃあ俺、放課後本借りに行こうかな」


「えっ!」


やだ、どうしてそうなるのかな。本気で言ってるの?


「いや、来なくていいからっ」


とっさに拒否する私。


「なんで?いいじゃん。あ、もしかして照れてる?」


「て、照れてないっ!」


からかうように言われて、私が焦ったように否定すると、楽しそうにクスクスと笑う彼。


「ははっ。雪菜ってさぁ、実は結構ツンデレだよなー。リアクションがいちいち可愛い」


「……なっ!」


さらには思いがけないことを言われ、不意に心臓がドキッと跳ねた。


何言ってるの?可愛い?


しかもツンデレって、なにそれ。初めて言われた。