「……ねぇ、なんなのいきなり。話したいことって何?」


仕方なく隣を歩きながら、ムッとした顔で問いかけると、彼はそこでようやく手を離し、困ったように笑う。


「あぁ、ごめんな」


「それに、さっきの女の子たちは、ほっといていいの?」


「え?あぁ、べつにいいんだよあれは。気にしなくても」


「いや、あのね、一ノ瀬くんはよくても私は……っ」


私がますます顔をしかめて言い返そうとしたら、急に一ノ瀬くんは私をじっと見つめてきたかと思うと、悲しそうな表情を浮かべた。


「それよりさぁ、なんで連絡くれないの?」


「えっ」


「ずっと待ってたのに。俺」


思いがけないことを言われて、一瞬言葉に詰まる。


「え……ウソ。待ってたの?」


「うん」


その表情はなんだかまるで、拗ねた子供みたいだ。