まさか、彼に気付かれて声をかけられるとは思ってもみなかったので、ビクッと肩が震える。


なんだろう。


ましてや、こんなふうにファンの女の子がたくさんいる前で。


おそるおそる振り返ると、彼と目が合うと同時に、女の子たちの視線が一気に私に集中する。


なんだかとても気まずくて、逃げ出したいような気持ちになった。


だけど、そんなことは気にせず、笑顔で話しかけてくる一ノ瀬くん。


「よかった。まだ帰ってなくて」


「えっ……。な、なんで?」


「雪菜のこと待ってた」


「……っ!?」


ウソ、何それ。なんで私のことを?


「ちょっと話したいことあるから、一緒に帰ろ」


思いがけない彼の発言にぎょっとして目を見開く私。


「えっ!いや、ちょっと、何言って……」