そして、カバンを肩にかけなおすと慌てて教室を出て行った。


思わずクスッと笑ってしまいそうになる。


璃子ったら、相変わらずそそっかしいなぁ。


そんなことを思いつつ、私も続くように教室を出る。


そのままゆっくり歩いて下駄箱まで来ると、ちょうど今から下校する生徒たちでいっぱいで、とても賑やかだった。


二年生の下駄箱の近くには、派手な女の子たちの集団が誰かを取り囲むようにして輪をつくっている。


チラッとそちらに目をやったら、なんと、その取り囲まれていた人物は、あの一ノ瀬くんで。


相変わらずすごい人気だ。


「ねぇねぇ、誰待ってるのー?」


「よかったらうちらと一緒に帰らない?」


「どっか遊びに行こうよ~」


女子たちに次々声を掛けられハーレム状態の彼の横を、知らん顔で通り過ぎようとする。


すると次の瞬間。


「雪菜!」


えっ……。


なぜだか呼び止められてしまった。