【完】キミさえいれば、なにもいらない。

「あ、お前、今何か隠しただろ」


「隠してないっ!」


「ウソつけ~」


そんな私たちのやり取りを見て、璃子がクスクス笑う。


「っていうか、遥先輩、その顔どうしたんですかー?」


そしてお兄ちゃんの顔を見ながら、わざとらしく尋ねる彼女。


そしたらお兄ちゃんは一瞬ドキッとしたような顔をして、苦笑いしながら語り出した。


「あー、これね。璃子ちゃん気づいちゃった?これはちょっと昨日トラブルに巻き込まれたというか」


「違うでしょ。お兄ちゃんがトラブルを起こしたんでしょ……ん~っ!」


私が突っ込んだら、お兄ちゃんにすかさず口をふさがれた。


「何言ってんだよ雪菜~、そんなわけないだろ。ほら、なんていうか、モテる男っつーのは色々あるんだよ。わかるだろー?璃子ちゃん」


「あー、わかりますよ。色々大変ですね~」