なんだか彼と会うのは久しぶりだ。


文化祭が終わってからは、まだ一度も顔を合わせていなかったような気がする。


陸斗先輩には彼方くんのことを悪く言われたりして、散々言動に振り回されたから、正直今でもあまりいい感情は持っていない。


いまだになんとなく気まずい気持ちがあるし。


だけど、私と彼方くんが付き合うことになったことは、おそらく彼も知ってるんだよね?うちのお兄ちゃんだって知ってるし……。


私がそれ以上何を口にしていいかわからず黙っていたら、彼は笑顔で一言。


「おめでとう」


「えっ?」


いきなりそんなふうに言われてビックリした。


「いやぁ、すげーよな、あいつ。一ノ瀬くんだっけ?あんなふうにみんなの前で告白するなんてな~。まさかあそこまでするとは俺も思わなかったよ」


思いがけないことを言われ、ますます目を見開く私。


陸斗先輩も、あの体育館での公開告白を見てたんだ。


すると彼は、今度は眉を下げ、真面目な顔で謝ってきた。


「誤解して、悪かったな。あと、色々彼のこと悪く言って悪かったよ」


「えっ……」


ウソ……。どうしたの、急に。