「いいなぁ~、もう。毎日幸せそうで羨ましいわ~」


璃子に言われて、思わず照れてしまう私。


なんだかこういうのにまだ慣れなくて。


こんなふうに自分に彼氏ができる日が来るなんて思ってもみなかった。


「何か進展あったらまた教えてよね!」


ポンと肩を叩かれ、「わかったよ」と困ったように笑いながら頷く私。


「それじゃ、またね」


「うん、バイバーイ!」


そのまま璃子に笑顔で手を振ると、教室をあとにした。


階段を下りて、下駄箱まで向かう。


彼方くんはもう先に教室を出たかな。


そんなことを思いながら歩いていたら、下駄箱の前でふと向こう側から見覚えのある人物が歩いてくるのが見えて。


目が合ったと思ったら次の瞬間、彼は私に声をかけてきた。


「雪菜」


「……陸斗先輩」