【完】キミさえいれば、なにもいらない。

すると、次第に会場全体も静かになり、気付けば彼の声だけしか聞こえなくなった。


ステージの上と下で向かい合い、見つめあったら、急にいろんな気持ちが込み上げてくる。


「こんな場所からでごめん。でも、真剣だってわかってほしいから。ここにいるみんなが、俺の気持ちの証人」


えっ……。


「もう何回も言ってるし、聞き飽きたかもしれないけど、もう一回言わせて」


彼方くんがそう言って、一呼吸置く。


シーンと静まり返る体育館の中。


「俺は、雪菜のことが好きです」


彼の口からハッキリと放たれたその言葉を聞いた瞬間、思わず目頭が熱くなった。


「この気持ちに一ミリもウソはないから。信じてほしい」


ドクドクと心臓の鼓動が早まっていくのがわかる。


なんだろう。彼の気持ちはずっと前から知ってるはずなのに。


あらためてこんなふうに伝えられたら、泣きそうになってしまう。


「あの日からずっと雪菜のことしか見えてないし、今まで言ったことも全部、俺の本音。だから、雪菜がまだ少しでも俺のことを信じる気持ちがあるなら、どうか……俺と付き合ってください!」


そう言って、しっかりと頭を下げる彼方くん。


「絶対幸せにする。俺の気持ちはブレないから100%本気だから」


まっすぐな彼の言葉に、胸がギュッと締め付けられる。


「雪菜の気持ち、聞かせて」