【完】キミさえいれば、なにもいらない。

思わず目に涙がにじんでくる。


彼に対して申し訳ない気持ちでいっぱいで。


だけど、それ以上に心の底からホッとして、救われた気持ちになった。


彼があの時言っていた言葉の意味を、初めて理解する。


『そこで全部証明する』


あれは、こういう意味だったんだ。


だから彼はあの時、私に劇を見に来るように言ったんだ。


彼方くんは本当に何も変わっていなかったんだ。


全部、私が一人で勝手に勘違いしていただけだったんだね。


バカだなぁ……。


でもよかった。


ほんとによかった……。


やっぱり彼のことを疑ったりなんてしちゃいけなかったんだ。


彼方くんにはあとできちんと謝らなくちゃ。