【完】キミさえいれば、なにもいらない。

どこかで聞いたことのあるセリフに、ドクンと心臓が飛び跳ねる。


あれ?ちょっと待って。これって……。


「えっ、なんだよそれ。じゃあお前、最初から本気じゃなかったの?」


「当たり前じゃん。手に入れるまでが楽しいんだよ、恋愛なんて。ゲームと同じでさ。今回も俺が全力で口説いたら、向こうもだいぶその気になってくれたみたいだし、チョロいもんだよ」


続けて彼らの口から飛び出してた言葉に、唖然として固まる私。


ウソ……。ウソでしょ。


じゃあまさか……。


あの時のあの言葉は全部……この劇のセリフだったってこと?


あれはただ、教室で劇の練習をしてただけだったの?


そんな……っ。


それに気づいた瞬間、思わず体がぶるぶると震えた。


同時にホッとして泣きそうになる。