「俺はこの○○王国の第二王子、アルト。生まれた時からこの恵まれた容姿のおかげで、たくさんの人に愛され、チヤホヤされて育ってきた。そして……」


最初は王子の自己紹介の一人語りから始まったこの劇。


彼方くんはアルト王子という名前で、容姿端麗でモテモテで周りからチヤホヤされているという設定らしく、なんだか本人そのままで、わざと似せたのかなと思えてしまう。


だけど、その王子の語りが終わると、次から急にとんでもない場面になって、思わずギョッとした。


「王子様、今日はこれから私のお部屋に遊びに来てくれるんでしょ？」


「ダメよっ。アルト王子は今日は私と約束してるのよ！」


たくさんの姫に囲まれハーレム状態の王子。姫たちはみんな王子の取り合いをしている。


そんな中、姫たちの肩を抱いたり頬に触れたりしながら、全員に甘い言葉を吐く王子。


「アンジェラ、今日も可愛いね」


「会いたかったよ、ジェニー」


その王子のとんでもないチャラ男っぷりに、会場がまたどよめく。


「え、ちょっと何この劇！ウケるんだけど」


なんて、隣で見ていた璃子も笑っている。