【完】キミさえいれば、なにもいらない。

「おいお前、何してんだよ!離せよっ」


彼方くんは男の腕を掴み、私から引きはがすと、とっさに片腕で私のことを抱き寄せる。


その瞬間、心臓がドクンと大きな音を立てて飛び跳ねた。


「雪菜に触るんじゃねぇよ!」


大声で男を怒鳴りつける彼方くん。


「あ?誰だよお前。お前のほうこそ邪魔すんじゃねぇよ」


男は突然の彼方くんの登場にイラついた表情で返す。


「なんだこいつ。女みてぇな顔しやがって。お前には関係ねーだろ!」


そして、そう言い放つと勢いよく彼方くんに掴みかかろうとしてきた。


――パシン!


彼方くんは、瞬時にその男の手首を片手で受け止める。


「……うるせぇ。関係あんだよ。この子に手出したら俺が許さねぇから」


そう言って男をまっすぐ睨みつける彼は、いつになく険しい表情をしていて。


そんな彼の姿を見ていたら、なんだかものすごくドキドキして、胸が苦しくなった。


どうしよう。まさか、彼方くんが助けてくれるなんて。


私昨日、あんなひどいことを言ったばかりなのに……。


すると、男はますます怒ったように彼方くんをキッと睨み返すと。


「……っ、カッコつけてんじゃねぇぞコラ!」


掴まれた手を振り払い、今度は手をグーにして殴りかかろうとしてきた。


思わずぎゅっと目をつぶる私。


――~♪♪