【完】キミさえいれば、なにもいらない。

それから空き教室を出た私は、再び更衣室へと向かった。


廊下を歩いているとどこも人がいっぱいで、先ほどよりだいぶ校舎内が混雑しているような気がする。


周りを見渡すと、うちの学校の生徒以外にも一般のお客さんたちがたくさんいて、その中には他校の制服を着た生徒の姿も目立っていた。


あちこちから笑い声やお店の掛け声が聞こえてきて、みんな楽しそう。


そんなふうにキョロキョロしながら歩いていたら、ふとすれ違った誰かと肩がドンとぶつかってしまって。


その瞬間、相手の手に持っていたカップから、ポップコーンが何粒か床にポロっとこぼれ落ちた。


ハッとして、すぐに謝る私。


「あ、ごめんなさいっ!」


よく見ると、その相手は他校の制服を着た派手な男子で、体格もガッチリしていてちょっと怖そうな人だ。


そのすぐ隣には、友達らしき男の子がもう一人いる。


ぶつかった男は、立ち止まるとこぼれたポップコーンを見つめながら、大きな声で言った。


「おいおいおい~、ちょっと何してくれてんの~?」


明らかに怒っている様子の彼を見て、ビクッと肩が震える。


ど、どうしよう……。


「気を付けて歩いてくんないと困るよ~、メイドちゃんよぉ」


「ほ、本当にすみませんでした!」


慌ててもう一度謝ったら、男はそんな私のことをなぜかジロジロと見てきた。


「って、よく見るとこの女、けっこう可愛いじゃん」


「あ、確かに」


男の発言に、隣にいた友達も同意する。


「仕方ねぇな、お詫びに何かご奉仕してくれたら許してやるよ。何してもらおうかな~」