悲しくて、苦しくて、悔しくて。いろんな気持ちが混ざり合ってぐちゃぐちゃになって、自分でもどうしていいのかわからない。


いっそのこと、彼方くんのことなんてもう、忘れてしまいたい。


だけど、そう思えば思うほど、彼と一緒に過ごした日々の記憶がよみがえってきて、切なくなってしまう。


だって、今まで私が見てきた彼方くんは、とても嘘なんかついているようには見えなかったから。


初めて図書室で告白された時だって、あのバレッタを拾ってくれた時だって、死ぬ気でテスト勉強を頑張って100位を取った時だって、お祭りで抱きしめられた時だって、私の目に映る彼は、いつだってまっすぐで、一生懸命だった。


そんな彼との思い出を全部否定して、なかったことにするなんて、できない。


それが全部ウソだったなんて、急にそう思い込むことなんてできるわけがないのに……。


昨日の彼の言葉が、今までの出来事すべてを空虚なものにしてしまう。


『ぶっちゃけあんなのお遊びだけどな』


『手に入れるまでが楽しいんだよ、恋愛なんて。ゲームと同じでさ』


結局は、陸斗先輩の言っていたことが正しかったってことだよね。


彼は元からチャラ男で、恋愛を遊びだとしか思っていなくて、誰にも本気にならない。


そういえば、鈴森さんもそんなことを言っていたんだっけ。


ということは、やっぱり私が彼の好意を自分に都合のいいようにとらえていただけだったんだ。


バカだなぁ……。