「うっわ~、マジかよ。信じらんねぇ……」


「今までだって甘い言葉吐けば、たいていの女は俺に落ちたし。俺が本気出せばたぶん落ちない子なんていないからさ。あははっ」


そう言って、高らかに笑う彼は、なんだかまるで別人のようで。


私の知っている彼とは違う。


どういうこと?こんな彼方くん、見たことない……。


一気に体中の血の気が引いていくかのようだった。


今の……全力で口説いたらその気になってくれたって、もしかして……私のこと?


恋愛なんてゲームと同じだなんて、そんなふうに思ってたの?


ウソだよね……?


「お前、結構最低だぞ。それ」


「いいんだよ。だって、人生楽しんだもん勝ちじゃん」


まるで悪気なんてないかのような彼方くんの言葉に、ため息をつく友達。


「……はぁ。ったく、いいよな~顔がイイ奴は。こんな性格でも顔が良けりゃ女は騙されちゃうんだもんな~。くそっ、その本性いつかバラしてやるからな!」


私はそこでもうこれ以上会話を聞いているのが耐えられなくなって、思わず逃げるようにその場から走り去ってしまった。