少しムッとしたような口調で返し、そのままスタスタと早足で歩いていく。


すると、ちょうどそこで2年1組の教室までたどり着いたので、半分ほど空いたドアからチラッと中を覗いてみた。


教室にはまだ男子が三人ほど残って何か話していて、その中には彼方くんの姿もある。


やっぱり……。まだ残ってたんだ。


声をかけたいけど、友達といるみたいだからどうしようかな。


そんなふうに少し迷っていたら、彼方くんが友達と会話する声が聞こえてきた。


「まぁ、ぶっちゃけあんなのお遊びだけどな」


なんて、いつになくダルそうな口調で話す彼方くん。


「えっ、なんだよそれ。じゃあお前、最初から本気じゃなかったの?」


「当たり前じゃん。手に入れるまでが楽しいんだよ、恋愛なんて。ゲームと同じでさ。今回も俺が全力で口説いたら、向こうもだいぶその気になってくれたみたいだし、チョロいもんだよ」


……え?


耳を疑うようなセリフに、ドクンと心臓が飛び跳ねる。


ちょっと待って。今の……彼方くんの声だよね?


一体何の話をしているの?