思いがけないことを言われて、少し戸惑った。


「……えっ。いや、でも私、今日は別の人と帰る約束してて……」


「そっか、なら仕方ないな」


「ごめんなさい」


正直、彼方くんとの約束がなかったとしても、今さら陸斗先輩と一緒に帰るのは少し気が引ける。


私が断りを入れると、陸斗先輩はこちらをじっと見ながら。


「その別の人って、もしかして、あの一ノ瀬くん?」


探るように問いかけられ、一瞬顔がこわばる。


同時にこの前陸斗先輩に言われたことを思い出して。


「う、うん。そうだよ」


頷いたら、陸斗先輩は「やっぱり」なんて言いながら、少し不服そうな顔をしていた。


「そっか~。相変わらず仲いいんだなぁ。でも俺、ちょっと心配になるよ。あいつはどうも信用できなくてさ」


そんなふうに言いながら、なぜか私の隣をついてくる先輩。


なんなんだろう。余計なお世話だ。


私からしたら、陸斗先輩のほうがよっぽど信用できないのに。


「でも私、約束してるから」