「なかなかうまくいかないもんだよなぁ、恋愛って。雪菜は俺みたいにならないようにな。ちゃんといい男選んで、いい恋愛しろよ」


そう言ってポンと私の頭に手を乗せてくる先輩。


なんだかもう、なんて返していいのかわからない。


「それじゃ、またな」


そのまま先輩は手を振りながら去っていったけれど、私の心の中にはまたしても、モヤモヤしたものが残った。


それに、いい男って……まるで、彼方くんが悪い男みたいに聞こえるよ。


「えー、ウッソー！別れちゃったの！？」


すると次の瞬間、隣で璃子が驚きの声をあげる。


「遠矢先輩でもフラれたりするんだぁ……意外。ビックリしちゃった。でも、実はこれってチャンス？」


「へっ？」


チャンスって、どういう意味……？


私がポカンとした顔で璃子を見つめ返すと、彼女はニヤニヤしながら語りかけてくる。


「だって、別れたってことはフリーなんでしょ。ってことは、遠矢先輩とお付き合いできるチャンスも生まれたってことだよね」


「えぇっ！何言ってるの、急に」


「雪菜、先輩とも仲いいし、迷っちゃうね～。彼方くんと、どっちにするの？」