「おぉ、そりゃどうも。そうそう、よく覚えてたね。でも、俺も君のこと知ってるよ。プレイボーイで有名な一ノ瀬くんだろ?」


しかしながらその発言は、どこか嫌味っぽく聞こえて。


「ははっ、マジっすか。でも俺、プレイボーイはもう卒業したんすよ。今は真面目に片思い中です」


彼方くんが笑いながら答えると、「ふーん」なんて言いながら、少し考え込んだような顔をする陸斗先輩。


「そうなんだ。真面目に片思いねぇ……」


そして、数秒間を置いたかと思うと、急に思いがけないことを口にした。


「でもたぶん、雪菜のことは俺のほうがよく知ってると思うけどね」


「え?」


驚きのあまり声が漏れる。


ちょっと待って……。何を言い出すの?急に。


なんだかまるで、彼方くんに対抗してるみたいに聞こえるんだけど。


するとそこで先輩は何を思ったのか、私の肩にポンと片手を乗せてきて。


「だって俺ら、長い付き合いだもんな?泣かされたら、いつでも俺に相談しなよ」