【完】キミさえいれば、なにもいらない。

その後、二人でたくさん露店を見て回って、射的やヨーヨー釣りなどのゲームをして遊んだ。


彼方くんは終始笑顔で子供のようにはしゃいでいて、気が付いたら自分も彼と一緒になってケラケラ笑っていた。


やっぱり彼方くんといると、居心地がいい。


気を使わないし、一緒にいて楽しいし。


だけどそれ以上に、彼方くんが私といて心から楽しそうにしてくれているのが、すごく嬉しかった。


彼方くんといると、つまらない自分が、ちょっとマシに思えてくるんだ。


こんな私でも、いいのかなって。


それはきっと、彼が私のことを常に肯定してくれるからなんだと思う。


彼方くんの隣にいると、すごく満たされて、あったかい気持ちになれる。


「そろそろ何か食べよっか」


いくつかゲームで遊んだ後、彼方くんが手を繋いだまま声をかけてきた。


「うん、そうだね」


自分もちょうどお腹がすいてきたところだったので、笑顔で頷く。


そのまま二人で何を食べようか相談しながら歩いていたら、途中、彼方くんが心配そうに顔を覗き込んできた。


「そういえば雪菜、足疲れてない?大丈夫?」


「……えっ?うん。大丈夫だよ」