【完】キミさえいれば、なにもいらない。

SHRが終わって帰りの支度をしていたら、ふと教室の入り口から誰かに大声で名前を呼ばれた。


「雪菜っ!」


その声にハッとして振り向くと、そこにいたのは、彼方くん。


いろんな意味でドキッとしてしまう。


彼方くんは何とも言えない表情のまま、私の元まで歩いてくる。


その手には、テスト結果の書かれた紙が。


一体何位だったんだろう。


「テスト……どうだった?」


私がおそるおそる尋ねたら、彼はひどく緊張した様子で、こう答えた。


「それがさ、実は俺、怖くてまだ順位見てないんだ。一緒に見ようと思って持ってきた」


「えっ」


そうだったんだ。


じゃあ、まだ結果がどうなったのかわからないってことだよね?


「だから雪菜、ちょっとこっち来て」


彼方くんが私の手を引いて、教室の外へと連れて行く。


そして、そのまま私たちは、人けのない廊下の隅っこの階段の前までやってきた。