【完】キミさえいれば、なにもいらない。

そう思って、自分も問題集を取り出しテスト勉強を始める。


本の匂いがする静かな図書室の中は、やっぱりとても集中できたし、勉強がはかどった。


そのまま黙々と30分ほど問題を解き続けたところで、ふぅっと一呼吸置く。


そういえば彼方くん、さっきからやけに静かだけど、まだ頑張ってるのかな。


気になって、隣を振り向く私。すると、その時視界に飛び込んできたのはなんと……シャーペンを手に持ちながら、机に寝そべるようにして眠っている彼方くんの姿だった。


え、ウソ……。


どうやら問題を解いている途中で眠ってしまったみたい。


クマができてるのを見つけた時から心配だったけど、やっぱり寝不足だったんだ。


彼方くんは、スースーと気持ちよさそうに寝息を立てながら眠っている。


その無防備な寝顔はなんだか子供みたいで、すごく可愛い。見ていたら、思わず頬が緩んでしまう。


それにしても、ほんとに綺麗な顔をしてるなぁ。茶色い髪の毛はクセがなくてサラサラだし、肌もすべすべで、まつ毛も長くて、女の子みたい。


耳にはよく見るとピアスの穴が開いているけれど、そういえば最近はつけているところを見ないな。


私があの時チャラいなんて言ったせいなのかな……。