【完】キミさえいれば、なにもいらない。

図書室に着くと、さすがテスト期間なだけあって、テスト勉強をする生徒たちでいっぱいだった。


私と彼方くんは、たまたま開いていた一番奥の角の席に二人で隣り合わせに座って勉強することに。


彼方くんはさっそく数学の問題集を広げると、分からないところを私に聞いてきた。


「これ。この6番の問題がどうしてもわかんなくてさ」


「あぁ。えっと、これは……」


ルーズリーフを取り出して、解き方を丁寧に解説する。こうしているとなんだか、彼の家庭教師みたいだ。


でも、数学はわりと得意なほうだし、教えること自体は苦ではないので、彼にこうやって頼られるのも、決して悪い気はしなかった。


彼方くんは私の説明で理解したのか、その後自分で問題を解けたみたいでホッとする。


こうして見ていると、やっぱりすごくできるようになったんだなって思う。


初めて数学を教えてあげた時は、簡単な問題も解けなくて、こっちが心配になるくらいだったのに。


この短期間できっと、すごく努力したんだなぁ。私も頑張らなくちゃ。