【完】キミさえいれば、なにもいらない。

そんなことを考えながら廊下を歩いていたら、ふと璃子が何か気が付いたように声をあげた。


「あ、ちょうど一組の教室まで来たから、ついでに彼方くんどうしてるか覗いてみない?」


言われてすぐ横を見てみたら、いつの間にか一組の教室の前までたどり着いていて。璃子はさっそく窓から中を覗くと、彼方くんの姿を探し始める。


つられるようにして、その横からそっと中を覗く私。


すると、彼方くんは珍しく自分の席についていて、一人で黙々と勉強しているところだった。


しかもなぜか、眼鏡をかけて、耳にはイヤホンを付けている。


あれ?彼方くん、眼鏡なんてしてたっけ?


「あ、いたいた!……って、なにあれ!なんか眼鏡かけてるよ!すごい真面目に勉強してるっぽいんだけど」


「ほ、ほんとだ」


璃子も眼鏡姿の彼方くんを見て驚いている。


「やだ、眼鏡かけてる姿もカッコいいじゃん。意外と似合う~」


うっとりした様子で見つめる璃子の横で、自分もまじまじとその姿を見つめてしまう。


たしかに彼、眼鏡も似合ってる。というか、元から顔が綺麗だから、なんでも似合うんだろうけど。