【完】キミさえいれば、なにもいらない。

突然璃子に思いがけないことを聞かれ、ドキッとする。


「そ、それは……っ」


「それって、まんざらでもないってことじゃん?私はそれがすごく嬉しいけどな~。さすがの雪菜も彼方くんの熱烈なアプローチに心が動いちゃったわけだね」


からかうようにそう言われて、言葉に詰まる私。


「そういうわけじゃ……」


だけど、璃子の言うことも、あながち間違いではない。


彼方くんとお祭りに行ってもいいって思ったのは本当だし、最近自分の中で、彼の存在がどんどん大きくなってきているような気がするのも事実だから。


でも、そんなこと言えないしなぁ……。


「またまたー、照れちゃって!素直に認めなよ~。私は雪菜には彼方くんみたいなタイプ、ピッタリだと思うんだけどな」


璃子が私の肩をポンと叩く。


「えぇっ、そう?なんで?」


「うん。だってなんか、彼方くんと一緒にいる時の雪菜楽しそうだし、いい感じのムード漂ってるよ」


楽しそう……。そうなの?


私、彼方くんといる時、楽しそうにしてるのかな。