【完】キミさえいれば、なにもいらない。

するとそこで急に、彼方くんがひらめいたような顔をする。


「あっ!じゃあさ、今度の期末テストでいい順位とったら、俺にご褒美くれない?」


「えっ、ご褒美?」


「うん。そう」


ご褒美って、なんだろう……と思いながら彼方くんを見つめ返すと、彼はそっと私の左手に、自分の右手を重ねてくる。


「夏祭り、俺と一緒に行ってくれませんか」


「えっ」


突然の申し出に、再び心臓がドクンと飛び跳ねる。


「雪菜と二人で行きたい。そのためなら俺、テスト頑張るから」


そう告げる彼方くんの表情は真剣だ。


だけど、ご褒美って言っても、いったいどういう基準で考えているのかな。


「いい順位って……例えば何位?」


私が問いかけたら、彼方くんは少し考えてから、こう答えた。


「じゃあ、100位以内」