【完】キミさえいれば、なにもいらない。

「はーっ、ちょっと休憩」


問題集をひととおり解き終えた彼方くんが、ぐんと伸びをする。


「お疲れ。最近、だいぶ問題解けるようになったよね」


私が声をかけると、彼は手を伸ばしたままで、こちらに視線を向けた。


「えっ、そうかな?」


「うん。私、彼方くんはやればできるタイプだと思う。こんなに急に解けるようになるとは思わなかった」


感心したようにそう告げると、嬉しそうに目を見開く彼方くん。


「マジで?俺が?」


「うん」


頷いたら、彼はへへっとはにかんだように笑ってみせた。


その笑顔がなんだか少年みたいで可愛い。


「そんなこと言われたら、すげー照れる。でも、全部雪菜のおかげだよ。雪菜が教えてくれるから、頑張ろうって思えるし」


まっすぐな目で見つめられて、少しドキッとしてしまった私。


「そんな、私はべつに……」